きつ音勉強シリーズ(吃音のあるお子さん向け)

8. きつ音を楽にする方法(中高生版)

動画

 

動画の内容

 
 

スタッタくん: 吃音を楽にする方法なんだけど、実は、いろいろあるんだ!
 
ハルトくん: そうなんだ。
 
スタッタくん: うん。どんな方法があるか、今から、お話するね。
 
メイちゃん: お願いします!
 

 

スタッタくん: 一つ目は、周囲の人へのアプローチだよ。
 
ハルトくん: 周囲の人って?
 
スタッタくん: うん、お家の人や、先生、お友達とか、毎日、一緒にいる人だよ。
 
メイちゃん: アプローチって、周囲の人に、何かをするの?
 
スタッタくん: うん、そうなんだ。たとえば、お家の人や先生、友達に、吃音の相談や説明をしたり、吃音で困っていることを助けてもらったりするんだ。
 
ハルトくん: 先生や友達に、吃音の相談をしてもいいのかな?
 
メイちゃん: 吃音で困っていること、助けてもらっていいの?
 
スタッタくん: うん。吃音は悪いことやダメなことじゃないし、うまく話せないのは吃音があるからだ、って分かったら、周りの人は、相談にのってくれたり、助けてくれるよ。
 

 

ハルトくん: 先生は、どんな風に助けてくれる?
 
スタッタくん: うん。吃音で困ることを助けてもらうことを「配慮」って言うんだけど、先生に相談すると、例えば、探究学習の発表会で、事前収録したビデオ動画での発表を認めてくれるなど、発表の方法を考慮してくれたり、英語のスピーキングのテストで、きつ音になったところは、減点しないでくれたり、高校や大学受験の面接試験や英検の面接試験における特別な配慮を受けるための申請をしてくれたりなどの配慮が受けられる場合があるよ。
 
メイちゃん: でも、どうやって、先生に、「配慮して欲しい」って言えばいいかわからない。
 
スタッタくん: うん。はじめはどうやったらいいか、わからないよね。その時は、お家の人と相談して、お家の人から言ってもらったら良いかもね。学校の相談室で相談しているお友達は、相談室の先生に相談すると一緒に考えてくれるんじゃないかな。
 

 

スタッタくん: 二つ目は、こころの問題へのアプローチだよ。
 
ハルトくん: こころの問題?
 
スタッタくん: うん。吃音のある人は、予期不安とか、自信をなくして自分が嫌いになるとかの、こころの問題で苦しんでいるよね。
 
メイちゃん: うん。
 
スタッタくん: そこで、吃音のある人を苦しめるこころの問題を小さくしたり、楽にしたりするんだ。こころの問題へのアプローチには、次のようなものがあるよ。
 
ハルトくん: どんなもの?
 
スタッタくん: うん。まずは、吃音は悪いこと、ダメなことではないことを確認するだよ。
 
メイちゃん: これは、前にも勉強したね。
 
スタッタくん: メイちゃん、よく覚えていたね。次は、自分の吃音のこころの問題の特徴を知るだよ。
 
ハルトくん: 吃音のこころの問題に、どのようなものがあるかも、前に勉強したね。
 
スタッタくん: そうだね。ハルトくんもすごい。もし、これらを復習したい人がいたら、吃音勉強シリーズのこれまでのビデオをもう一度見てね。
 

 

スタッタくん: 次は、少しずつ、不安や緊張を感じていることに挑戦する、だよ。
 
メイちゃん: これは、どう言うこと?
 
スタッタくん: 例えば、教科書の音読が苦手なお友達だったら、まずは、お家の人の前や、ことばの教室の先生の前など、あまり不安や緊張をしない人の前で音読の練習をしたり、他の人と一緒に声を合わせて読むなど、不安や緊張が少なくなる方法で練習したりするんだ。そして、このような練習を繰り返して、不安や緊張が少なくなったら、仲の良い友達の前で読むとか、少しずつ不安や緊張が大きいところで話す挑戦をしていくんだ。
 
ハルトくん: 少しずつ挑戦するんだね。
 
スタッタくん: そうなんだ。そして、次は、「良いところ探し」をする、だよ
 
メイちゃん: 良いところ...探し? どんな風にするの?
 
スタッタくん: うん。例えば、授業の発表の時に、「さ、さ、三十五」って吃音になった時、メイちゃんだったら、どう思う?
 
メイちゃん: : 「しまった。発表、失敗しちゃった」、って思うかな?
 
スタッタくん: うん。だけど、授業で頑張って手を挙げたり、「三十五」っていう正しい答えが言えたりしたって考えると、発表、失敗だったのかな?
 
メイちゃん: 確かに、そう考えると、吃音は出たけど、発表自体は、成功したのよね。だって、ちゃんと、答えが合っていたんだから。
 
スタッタくん: そうなんだ。授業の発表は、正しい答えが言えたら成功なんだけど、吃音のあるお友達は、どうしても、吃音が出ると失敗って思いがちなんだ。だから、「吃音が出るか、出ないか」だけを考えないために「良いところ探し」をすることが大切なんだ。
 

 

スタッタくん: そして、最後は、「吃音があってもかんばっている自分を褒める!」だよ。
 
ハルトくん: 吃音があっても、頑張っている自分を褒める? どういうこと?
スタッタくん: うん。吃音のあるお友達は、吃音への不安や緊張を感じながら、それでも、頑張って、発表したり、クラスの仕事をしたり、先生やお友達とお話したりしているよね。
 
ハルトくん: うん。
 
スタッタくん: そんな、吃音への不安や緊張を感じながら、それでも頑張って話している吃音のあるお友達ってすごいと思わない。
 
メイちゃん: 確かに、そうだわ。
 
スタッタくん: 吃音のあるお友達は、そんなすごいことをしているんだから、もっと、もっと、自分のことを褒めてあげてもいいと思うんだ。
 
ハルトくん: うん。僕も、そう思う!
 

 

スタッタくん: 吃音を楽にする方法の3つ目は、吃音の話し方へのアプローチだよ。
 
メイちゃん: これは、どんなこと?
 
スタッタくん: 自分の吃音の話し方の特徴を知ることや、吃音の話し方を少なくしたり、つまって苦しい話し方を楽にしたりするために、吃音が出にくい話し方の勉強をしたり、使ってみたりすることだよ。
 
ハルトくん: 自分の吃音の特徴を知るって?
 
スタッタくん: 吃音の話し方には、楽な吃音、苦しい吃音など、色々あって、一人ひとり違っていたよね。
 
メイちゃん: うん
 
スタッタくん: また、吃音が出やすい時、出にくい時も、一人ひとり違うよね。
 
ハルトくん: そうだね。
 
スタッタくん: だから、自分に合った吃音の話し方へのアプローチを見つけるためには、まず、自分の吃音の話し方はどうなのか、どのような時に吃音が出やすく、どのような時に出にくいのか、など、自分の吃音の話し方の特徴を知る必要があるんだ。
 
メイちゃん: 吃音が出にくい話し方って、どんなのがあるの?
 
スタッタくん: 「ゆっくり、ゆったり」話す、「そっと、やわらかく」話す、はじめの音を繰り返したり、伸ばしたりする、少し待ってから話すなど、色々あるよ。これらの方法は、吃音勉強シリーズ11「吃音が出にくい話し方1」12「吃音が出にくい話し方2」で詳しく説明しているよ。
 

関連資料・教材

 

きつ音サポートノート [子ども版]

 

『学齢期吃音の指導・支援改訂第2版ーICFに基づいたアセスメントプログラム』で紹介している教材

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