吃音の原因と予後
このホームページをご覧の保護者の方の中には、お子様の吃音の原因がご自身にあるのではないかと思われたり、お子様の吃音の今後についてご不安に思われている方がいらっしゃると思います。ここでは、吃音の原因と予後について考えます。
保護者の方の育て方のまずさが、お子様の吃音の問題の原因ではありません
吃音のあるお子様の保護者の方の中には、「自分の育て方がまずかったから、我が子が吃音になった」と思われ、ご自身を責められている方がいらっしゃるかもしれません。また、他のご家族やご親戚、ご近所の方などから、「お子さんの吃音の原因は、保護者の方の育て方がまずいからだ」などと指摘され、傷ついていらっしゃる方もいらっしゃるのではないかと思います。
しかし、保護者の接し方のまずさが原因で、お子さんに吃音が生じるわけでは決してありません。 吃音の原因は、まだ完全には解明されていないのですが、恐らくは、お子さんの持っている素因的な要因と、環境の要因がある条件で組み合わさった時に生じるのではないかと考えられます。
吃音の問題は、多くの場合、徐々に軽くなっていきます
吃音の問題は、多くの場合、徐々に軽くなっていきます。特に、幼児期の吃音の場合、少なくとも吃音がある幼児のお子さんの半数のお子さんは、特に特別な指導や支援をしなくても、小学校に入学するぐらいまでに吃音の問題が見られなくなることが知られています(これを自然治癒といいます)。
また、小学校に入って吃音が引き続き見られるお子さんでも、ことばの教室や言語聴覚士の先生方の適切な指導・支援を受けることで、多くの場合、身体の緊張を伴う重い吃音があまり見られなくなったり、吃音が出にくいように身体の緊張をうまくコントロールしながら話す方法を身につけたりして、日常生活の中でそれほど大きな支障なく過ごせるようになるようになります。
なお、小学校の時期に大きな支障なく過ごせるようになった子どもであっても、思春期となる中学校、高校の時期や、就職活動の時期などに上手く話せないことに悩んだり不安を感じたりする場合があります。しかし、多くの場合、一時的にこのようなことが見られても、これらをうまく乗り越え、吃音に対する不安や悩みは再び軽減し、吃音の言語症状も徐々に軽快化していくと考えられます。