吃音の問題あれこれ
私は、吃音の問題には、単に「吃ってうまく話すことが出来ない」ということにとどまらない、様々な問題があると考えています。それらの中には、例えば、次のようなものがあります。
うまく話せないことへの欲求不満やいらだち
言いたいことが頭の中にはっきりとあるのに言えない
自分の体なのに、思い通りに動かすことが出来ない
口やのどがLoss of Control(制御不能)の状態になる
予期不安
以前失敗したことがもう一度あるのではないかと不安になる
苦手なことばや場面が近づくと強い不安や緊張を感じる
苦手なことばや場面を頭の中でイメージするだけで体が硬くなる
発話場面の回避
言いにくいことばを別のことばに置き換えて話す
言いにくいことばがある時は、話さないようにする
コミュニケーション場面や対人接触の場面の回避
自分のしたいことよりも、話す失敗の少ないことを優先する
話すことを避けるために、友達や仲間を極力作らないようにする
デモストネス・コンプレックス
吃音がなければ、何でも出来るのにと思う
吃音があるために、自分は何もできないと感じる
吃音が治らないと、したいことは何もできないと感じる
自信の喪失や自尊感情の低下
吃音のためにうまく話せない自分のことをふがいなく思う
周囲の友達や仲間と比べて自分は劣った存在だと感じる
吃音のために色々なことを避けている自分を情けなく思う
周囲の人の誤解や無理解
吃音を、「ただ、うまく話せないだけ」と軽い問題と捉えられる
吃音が治らないのは、努力や練習が足りないからだと思われる
吃音の話し方をおかしいものと感じられ、からかわれる
まめちしき : 「デモストネス・コンプレックス」とは、古代ギリシャ時代に、重度の吃音を克服して雄弁家として活躍したデモストネスにちなんで、吃音の人が「吃音を克服しないと、自分の人生に成功はない」、「吃音さえなければ、すばらしい人生を送ることが出来るのに」と考えてしまう傾向があることを指したことばになります。