相談や支援
成人の吃音の相談や支援を行っている専門機関としては、以下のようなものがあります。
言語聴覚士
言語聴覚士とは、言語障害や聴覚障害がある方に対する指導や支援を行う専門職で、理学療法士や作業療法士とともに、国家資格となっています。言語聴覚士の養成課程の中には、吃音が含まれており、吃音がある方の指導・支援の中核を担う存在として、その役割が期待されています。ただ、言語聴覚士の取り扱う業務は多岐にわたるため、必ずしも全ての言語聴覚士が吃音の指導や支援を行えるわけではありません。しかし、近年、吃音の指導・支援に意欲的に取り組む言語聴覚士が増えて来つつあり、今後の指導・支援体制の拡充が期待されます。
言語聴覚士は、主に、病院のリハビリテーション科や耳鼻咽喉科等のリハビリテーションスタッフとして勤務している場合が多いようです。ただし、前述したように、全ての言語聴覚士が吃音の指導・支援を担当しているわけではないので、言語聴覚士の指導・支援を希望する場合は、あらかじめ、病院等に直接お問い合わせいただくか、日本言語聴覚士協会、各都道府県の言語聴覚士会にお尋ね下さい。
セルフヘルプグループ
吃音がある当事者が、日を決めて集まり、互いの吃音問題について話し合いを行ったり、吃音問題改善に向けた様々な取り組みを行う、言友会や日本吃音臨床研究などのセルフヘルプ(自助)グループが、日本各地に設置されています。
セルフヘルプグループは、当事者の集まりですから、言語聴覚士のように、吃音についての学術的な知識や、吃音改善のため専門的な指導や支援が受けられるわけではありません。しかし、自分と同じ問題を持つ仲間と出会い、当事者同士でないと感じることの出来ない連帯感を感じながら、吃音についての悩みを聞いてもらったり、同じ悩みを持つもの同士という立場で具体的なアドバイスをもらったりと、セルフヘルプグループでないと、得られないものがあることも事実です。
多くのセルフヘルプグループでは、定期的に行われる例会(月1回程度の会が多いようです)を行っています。また、会報を発行したり、専門家の先生を招いての講演会、全国のセルフヘルプグループが一同に会するワークショップを開催したりと、様々な企画を行っている会もあります。
心理カウンセラーなど
数は少ないですが、臨床心理士などの心理カウンセラーの先生で、吃音がある人の心理療法を行っている先生もいらっしゃるようです。心理カウンセラーの先生方の多くは、言語症状に対する直接的なアプローチというよりは、吃音に伴う不安や劣等感などの心理的な問題の軽減を目指した取り組みを行っています。心理療法に限りませんが、指導・支援法には、それぞれの人ごとに、合う、合わないという面があります。そこで、心理療法を検討される場合は、それぞれの先生がどのような方法に基づいた心理療法をされているかを確認することが必要になると思います。