吃音情報シリーズ[園・学校の先生向け]
16. クラスへの吃音の啓発(小学生版・中高生版)
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近年、吃音のあるお子さんがいるクラスで、吃音の啓発授業を行う実践がされ、その有効性が報告されています。
クラスで吃音の啓発が有効な理由には、
- 周囲からは分かりにくい吃音の困難を理解してもらえる
- 「『吃音』が悪いこと、ダメなことではない」ことを理解してもらえる
- 吃音へのからかいは失礼なことであることを理解してもらえる
- 吃音のあるお子さんに特別な配慮(合理的配慮)を行う際に、周囲の理解が得られ、受け入れが良くなる
などがあります。
ただ、クラスへの吃音の啓発を行う際は、必ず、「保護者、本人の希望、もしくは承諾がある」という前提条件がクリアされている必要があります。
そのため、クラスへの啓発をする前に、必ず、保護者と本人の希望を確認し、承諾が得られない場合は実施しない
ことを徹底するようにします。
さらに、クラスへの啓発を行う場合も、必ず、保護者、本人と具体的な内容や方法についての念密な打ち合わせをするようにします。
クラスへの啓発を行う前に、本人、保護者と、打ち合わせることとしては、
- 吃音のことをどのように表現するか、例えば、「話し方のくせ」というか、「吃音って話し方の問題」というかなど
- 何を伝えるか、あるいは、何を伝えないか 例えば、病院に通っていることを伝えるか、伝えないかなど
- 説明の際に、本人は同席するか、別室にいるか など
- 誰が説明するか 担任の先生か、ことばの教室の先生か、本人か など
などがあります。
クラスで吃音の啓発を行う際は、
- ふざけたり、わざとやっているわけではないこと
- 本人の力ではどうしようもできないこと
- ことばがうまく出ないだけで、あとはみんなと同じこと
- からかわれると、とても辛い気持ちになること
- 言葉が出るまで待っていてくれると話しやすいこと
- 吃音のために、発表や当番などに困難があること
などを説明します。また、豆情報として、100人に1人いることや、現在のアメリカ大統領のバイデン氏にも吃音があるなど、有名人の中にも吃音のある人がいることなどに触れると、吃音を身近に感じてもらいやすくなります。
クラスへの吃音の啓発の実施方法には、
- 担任の先生が、説明する
- ことばの教室の先生や、特別支援教育コーディネーターの先生などが説明する
- 吃音のあるお子さんが、自分自身で説明するなどがあります。
「吃音のある子どもが、自分自身で説明する」については、ことばの教室の指導の一環として、例えば、ことばの教室の先生と一緒に相談しながら、クラスのみんなに知って欲しいことや、お願いしたいことを書いた作文を読むなどをします。
これらの中のどの方法を用いるかは、お子さん本人や保護者と相談したり、お子さんが利用している通級指導教室や医療機関の先生のご意見を伺いながら決めると良いでしょう。