吃音情報シリーズ[園・学校の先生向け]

11. 吃音とは(小学生版)

動画

 

動画の内容

 

 

 吃音は、言葉を、滑らかに、スラスラと話すことができない言語障害の一つです。言葉が「どもる」とも言います。
 
 小学生以降の吃音の出現頻度は、1パーセント程度であることが知られています。
 
 小学生の低学年を過ぎると、吃音が自然になくなる自然治癒が見られることは少なくなります。そうすると、お子さんによっては、自身の吃音の言語症状を気にするようになったり、力の入った苦しいつまりがでてくるようになったりします。そこで、このような吃音の悪化を防いだり、吃音がその後の人生で大きな問題にならないよう配慮や支援をしたりする必要があります。
 

 

 吃音の言語症状には、以下の3つがあります。
 
 1つ目は、「こ、こ、これ」のような、音の繰り返し、連発です。
 
 2つ目は、「こーーれ」のような、音の引き伸ばし、伸発です。
 
 3つ目は、「......これ」のような、音のつまり、難発です。
 
 吃音の言語症状が進展すると、「こっ、こっ、これ」、「......これ」のように、のどやくちびる、舌に力が入るようになります。また、言語症状の進展に伴い、顔を歪める、手足を動かすなどの随伴運動が生じることもあります。
 

 

 シーアンというアメリカの吃音の研究者は、吃音の問題は氷山のようなものであり、外から見える言語症状だけでなく、外から見えない心理症状に注意する必要があると述べています。
 
吃音の心理症状には、
 

  • 言語症状のため、思い通り話せないことへの苛立ちや欲求不満

 

  • 言語症状を、恥ずかしい、いけない・ダメと思う

 

  • 発話の際に言語症状が出ることへの不安

 

  • 言語症状が出そうな音や言葉を他の言葉に言い換えたり、避けたりする

 

  • 言語症状でスラスラ話せなかったり、発話を避けたりする自身を否定的に捉え、自己効力感、自己肯定感が低下する

 
などがあります。
 
 なお、心理症状が大きい吃音のあるお子さんの中には、発話への不安から、発話を避けるようになるため、言語症状が目立たなくなることがあります。そのため、吃音の言語症状だけで、吃音の有無や困難度を判断しないようにする必要があります。
 

 

 吃音の原因は、現時点では、まだ、はっきりとしたことは分かっていません。
 
 しかし、これまでの研究の結果、吃音の原因が、保護者の育て方の問題ではないことは明らかになっています。
 
 現在、吃音の原因の有力な説となっているのは、「多要因モデル」と呼ばれるものです。これは、体質的要因と、環境要因の複雑な相互作用によって吃音が生じるとするものです。
 

 

 吃音のあるお子さんへの対応は、学校で行う対応、専門機関で行う対応に分けることができます。
 
 毎日の生活の場である学校では、吃音があっても安心して生き生きと話せる環境作りや、お子さんの吃音への不安や困難に応じた配慮・支援、からかいへの対処など他児への対応が期待されています。また、ことばの教室の利用も大変有効です。学校におけるお子さんへの対応については、吃音情報シリーズ(14)「吃音のある子どもへの配慮と支援」もご参照下さい。
 
 小学生の吃音の相談や指導・訓練を行っている専門機関には、言語聴覚士ということばのリハビリテーションの専門職がいる医療機関や、都道府県や区市町村などの自治体が行なっている、「ことばの相談」、「療育相談」などがあります。

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