吃音情報シリーズ[園・学校の先生向け]

10. 吃音とは(幼児版)

動画

 

動画の内容

 

 

 吃音は、言葉を滑らかに、スラスラと話すことができない言語障害の一つです。言葉が「どもる」とも言います。
 
 吃音は、言語発達がある程度進み、おしゃべりが上手になってくる2歳から4歳位に出始めることが多く、幼児期の出現頻度は、5〜10パーセントとかなり高いことが知られています。
 
 また、吃音のある幼児のお子さんの8割程度は、小学校低年生までに吃音が自然になくなることが知られています。なお、吃音のある幼児のお子さんの2割程度は、小学校以降も吃音が継続します。
 

 

 吃音の言語症状には、以下の3つがあります。
 
 1つ目は、「こ、こ、これ」のような、音の繰り返し、連発です。
 
 2つ目は、「こーーれ」のような、音の引き伸ばし、伸発です。
 
 3つ目は、「......これ」のような、音のつまり、難発です。
 
 吃音の言語症状が進展すると、「こっ、こっ、これ」、「......これ」のように、のどやくちびる、舌に力が入るようになります。また、言語症状の進展に伴い、顔を歪める、手足を動かすなどの随伴運動が生じることもあります。
 

 

 吃音の特徴の一つに、言語症状の多い時期と少ない時期が交互におとずれる「言語症状の波」があります。特に、幼児期は、言語症状の波の幅が大きく、言語症状の少ない時期に、全く言語症状が出なくなることも少なくありません。
 
 また、一般的に、複雑なことを話したり、興奮して話したりする時に言語症状は出やすいようです。そのため、最も、話しやすく、活発におしゃべりをするご家庭で、一番吃音が出る場合が多いです。
 

 

 個人差はありますが、年中さんぐらいまでは、ほとんどのお子さんは、自身の言語症状に気づいておらず、言語症状が出ても気にせず、話したいことを話します。
 
 ただし、お子さんの中には、言語症状を気にしたり、力の入った苦しいつまりになったりし、園での活動や他児との関わりに支障が生じるお子さんもいます。
 

 

 吃音の原因は、現時点では、まだ、はっきりとしたことは分かっていません。
 
 しかし、これまでの研究の結果、吃音の原因が、保護者の育て方の問題ではないことは明らかになっています。
 
 現在、吃音の原因の有力な説となっているのは、「多要因モデル」と呼ばれるものです。これは、体質的要因と、環境要因の複雑な相互作用によって吃音が生じるとするものです。
 

 

 吃音のあるお子さんへの対応は、園で行う対応、専門機関で行う対応に分けることができます。
 
 毎日の生活の場である園では、吃音があっても安心して生き生きと話せる環境作りや、お子さんの吃音への不安や困難に応じた配慮・支援が期待されています。園におけるお子さんへの対応については、吃音情報シリーズ(13)「吃音のある子どもへの配慮と支援」もご参照下さい。
 
 幼児期の吃音の相談や指導・訓練を行っている専門機関には、言語聴覚士ということばのリハビリテーションの専門職がいる医療機関や、都道府県や区市町村などの自治体が行なっている、「ことばの相談」、「療育相談」などがあります。

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