吃音情報シリーズ[保護者向け]
7. 吃音のあるお子さんへの対応(小学生版)
動画
動画の内容
小学生の吃音のあるお子さんは、自身の言語症状への気づきの程度により、異なった様子を見せます。
例えば、主に低学年に見られる、まだ自身の言語症状に気づいていなかったり、言語症状には気づいているが気にしていないお子さんは、心理症状がほとんどなく、力の入らない軽い繰り返しや引き伸ばしなどの言語症状は見られるものの、気にせず話します。
一方、自身の言語症状に気づき、気にしているお子さんの中には、力の入った苦しい繰り返しやつまりなどの言語症状と自己効力感の低下などの心理症状があるお子さんや、心理症状の予期不安が非常に強く、話す場面を言い換えなどで避けるため言語症状は一見目立たないお子さん、言語症状、心理症状共に強く、授業や学級活動などの毎日の生活に大きな困難が生じているお子さんなどがいます。
そのため、小学生の吃音のあるお子さんの対応では、言語症状の気づきの程度に応じた対応を考える必要があります。
自身の言語症状に気づき、気にしているお子さんには、「吃音は悪いこと、ダメなことではない」ことをしっかりと伝えると共に、お子さんとオープンに吃音の話ができる関係を作り、お子さんの毎日の生活の困難やからかいといった吃音の悩みや相談にきちんと対応する必要があります。
また、吃音の困難の軽減には、学級担任の先生やクラスメイトなどお子さんの周囲の人の理解と配慮を得ることも大切です。
さらに、お子さんが吃音を意識し、吃音についての相談をしたい、吃音の勉強や話し方の練習をしたいと思っている時は、ことばの教室や言語聴覚士のいる医療機関での直接的な指導・訓練を検討する必要もあるでしょう。
ご家庭では、
- 相づちやうなづきをしながら、お子さんのお話をよく聞く
- 話し方でなく、話の中身に注目する
- 原則として、吃音の話し方への指摘は避ける
- 「ゆっくり、ゆったり、短めに」接する
- お子さんが、一人で吃音の悩みを抱え込まないように、定期的に、吃音の不安や悩みがないか尋ねる
と良いでしょう。ご家庭での対応については、吃音情報シリーズ(9)「ご家庭での対応の提案」もご参照下さい。
学校や習いごとなどでは、先生に、
- 吃音についてご理解いただいた上で、必要な配慮をしていただく
- お子さんの吃音に配慮した授業や学級作りをしていただく。例えば、授業の発表を黒板に板書する形式にする、教科書の輪読を隣の子と一緒に斉読する形式にするなど、様々な発表方法を取り入れていただく、流暢性だけで発話の巧拙を評価せず、発表の内容や態度、発表までの準備の過程など様々な観点から評価いただくなど。
- お子さんの吃音の悩みや不安にしっかり対応いただく。例えば、必要に応じて、日直当番のセリフを吃音が出にくい言葉に変更するなど特別な配慮をご検討いただくなど
- 吃音のからかいが生じた際は、しっかりご対応いただく
などを、お願いしておくと安心です。
小学生の吃音の相談や指導・訓練を行っている専門機関には、公立小学校に設置されている「ことばの教室」、正式名称は、言語障害通級指導教室や、言語聴覚士ということばのリハビリテーションの専門職がいる医療機関があります。また、都道府県や区市町村などの自治体の中には、「ことばの相談」、「心理相談」などの形で、吃音のあるお子さんの相談を行っているところがあります。お子さんに吃音が見られる場合は、一度、これらの専門機関で、相談されることをお勧めします。