吃音情報シリーズ[保護者向け]
5. 吃音のあるお子さんへの対応(幼児版)
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幼児期の吃音は、頭の中には話したいことがたくさんあるのに、それを表すための言語表出や発話運動ができない、言語理解と言語表出のアンバランスから生じることが多いと考えられています。
そのため、お子さんが、リラックスして、話したいことがたくさんあるご家庭や園では、他の場所より、吃音が増えることが多いようです。
さらに、自分の考えや思いを言葉にする発話経験を重ねることを通して、言語表出の力が伸びることで、言語理解と言語表出とのアンバランスが小さくなり、吃音の言語症状が改善する可能性があります。そのため、一時的に言語症状が多くなるかもしれませんが、いっぱいおしゃべりをして、言語表出の力を促進することが言語症状の改善にも有効と考えられます。
これらのことから、私は、お子さんが自身の吃音を気にせず、生き生きとお話ししているのであれば、多少言語症状があっても、お子さんのお話を相づちを打ちながらしっかり聴いたり、「よく分かったよ」、「お話し、上手だね」など褒めてあげたりすることを通して、「言いたいことが言えた」、「お話が伝わった」、「上手にお話しできた」という成功経験にすることが必要と考えます。
また、吃音のある幼児のお子さんは、まだ自身の吃音に気づいていないことが多いようです。
そして、お子さんが吃音に気づくのは、思い通りに話せないことへのもどかしさや欲求不満や、吃音に対する指摘やからかいなど、お子さんの周囲にいる人の反応がきっかけになる場合が多いようです。
そこで、お子さんが吃音に気づいた時は、これらお子さんの吃音への悩みや思いをきちんと受け止めるとともに、「吃音は悪いこと、ダメなことではない」ことをしっかりと伝える必要があります。
ご家庭では、
- 相づちやうなづきをしながら、お子さんのお話をよく聞く
- 話し方でなく、話の中身に注目する
- 原則として、吃音の話し方への指摘は避ける
- 「ゆっくり、ゆったり、短めに」接する
と良いでしょう。ご家庭での対応については、吃音情報シリーズ(6)「ご家庭での対応の提案」もご参照下さい。
園や習いごとなどでは、先生に、
- 吃音についてご理解いただいた上で、必要な配慮をしていただく
- 吃音のからかいが生じた際は、しっかりご対応いただく
- お子さんが吃音の悩みや不安を先生に訴えた際は、ていねいに対応していただく
などを、お願いしておくと安心です。
幼児期の吃音の相談や指導・訓練を行っている専門機関には、言語聴覚士ということばのリハビリテーションの専門職がいる医療機関があります。また、都道府県や区市町村などの自治体の中には、「ことばの相談」、「療育相談」などの形で、吃音のあるお子さんの相談を行っているところがあります。お子さんに吃音が見られる場合は、一度、これらの専門機関で、相談されることをお勧めします。