吃音情報シリーズ[保護者向け]
6. ご家庭での対応の提案(幼児版)
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動画の内容
この動画では、ご家庭での対応について、いくつか、具体的な提案をします。
1つ目は、「ゆったりお話しタイム」です。これは、1日、10分から15分程度、家事やスマホをせずに、お子さんとのおしゃべりに集中する時間を設けるという提案です。ゆったりお話しタイムは、園からの帰り道やおやつタイム、お風呂、寝かしつけの時間など、保護者の方も、ホッとできる時に設けると良いでしょう。ごきょうだいがいる場合は、可能であれば、ご家族にご協力いただき、吃音のあるお子さんと1対1の時間が取れると理想的だと思います。しかし、難しい場合は、ごきょうだい一緒でも構いません。また、お忙しく、毎日「ゆったりお話しタイム」を取ることができない場合は、2〜3日に1回とか、可能な範囲で構いません。大切なのは、日々お忙しい毎日の中で、お子さんとゆったりおしゃべりを楽しむ時間を意識的に持つことです。チリも積もれば山となる、ではないですが、1日1日の時間は短くてもコツコツ積み重ねていくことで大きな効果があると思います。
2つ目は、お子さんの吃音の調子に応じて、話しかけ方を変えることです。幼児期は、吃音の言語症状の多い時期と少ない時期の波が大きいことが知られています。そこで、言語症状の少ない時期は、たくさんおしゃべりをして言語表出のアップを狙い、言語症状の多い時期は、あまり話さなくて済むようにすることが有効と考えます。
具体的には、言語症状の少ない時は、「誰と遊んだの」、「何が欲しいの」などオープンな質問をしたり、長い発話や、過去の出来事や道筋だった話など、言語力が必要な発話を引き出すようにします。
そして、言語症状が多い時は、あまり話さなくて済むように、「Aちゃんとあそんだの?」、「オレンジジュースとリンゴジュースどっちがいい?」などYes/Noや選択肢で答えるクローズドな質問をしたり、短い発話や挨拶などの決まった言葉や、お子さんが話しやすい音や言葉など、言語症状が出にくい発話を引き出すようにします。
3つ目は、お子さんと関わる際のヒントです。
吃音のあるお子さんと関わる際は、お子さんが
- ゆっくりとした発話ができるように、「お子さんよりも、少しゆっくり」
- ゆったりとした発話ができるように、「お子さんが話し終えてから、一呼吸おいて」
- そっと、やわらかい発話ができるように、「そっと、やわらかい口調で」
- お子さんの発話をちゃんと聞いていることを伝えるために、「お子さんの話し方をそのまま返す」
- お子さんの言語表出の力を伸ばすために、「お子さんの話したことに1語追加するなど、少し膨らませて返す」
ようにします。
4つ目は、お子さんが吃音の悩みを話してきた時の対応です。
自身の吃音に全く気づいていないお子さんが、クラスメイトに吃音の指摘をされたことなどをきっかけにある日突然、吃音の悩みを話してくることがあります。そこで、「お子さんが吃音の悩みを話してくる時」に備え、どう対応するかを予め考えておくと良いでしょう。
吃音の悩みを話してきた時の対応のポイントは、他の悩みと同じように、ということになります。具体的には、吃音以外の悩みの時の対応と同様、まずは、お子さんの思いをよく聞き、受け止めましょう。そして、「吃音は悪くない」という基本姿勢で対応しましょう。
また、必要に応じて具体的な対応、例えば、吃音のことをからかわれたと訴えている場合は、お子さんと相談しながら、園の先生にからかう子を注意してもらう、などしましょう。
5つ目は、ごきょうだいへの対応です。
ごきょうだいへの対応については、「ゆっくり、ゆったり、短めに」などの話しかけ方は、吃音のあるお子さんに合わせ、同じようにすると良いでしょう。
また、ごきょうだいの年齢にもよりますが、「順番」のルールを作り、吃音のあるお子さんも、吃音のないごきょうだいも、順番にお話を聞くようにし、他のきょうだいが話している時に割り込んで話すのはルール違反と教えるのも効果的です。
さらに、ごきょうだいが小学校2〜3年生位になると、ごきょうだいに吃音の説明をし、吃音が出ても指摘をしないで最後までお話を聞いて欲しいとお願いするなど、理解を求めても良いかもしれません。
関連資料・教材
吃音サポートノート [保護者版]
『学齢期吃音の指導・支援改訂第2版ーICFに基づいたアセスメントプログラム』で紹介している教材