吃音情報シリーズ[保護者向け]
4. 吃音のある子どもの困難(小学生版・中高生版)
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吃音のあるお子さんの困難は、個人差が大きく、一人ひとり異なります。しかし、吃音のあるお子さんの中には、以下に挙げるような困難を感じるお子さんが多いようです。
吃音のあるお子さんが感じることの多い困難の1つ目は、「思い通りに話せないことへのもどかしさや欲求不満」です。これは、ペキンズというアメリカの研究者が「Loss of Control」と表現した感覚のことで、自分の体なのに思い通りに動いてくれないことに、イラだちを感じたり、あきらめてしまったりすることを言います。
吃音のあるお子さんが感じることの多い困難の2つ目は、「予期不安」です。これは、ことばを言う前にそのことばの音が出てこないことが分かり、不安を感じることを言います。多くの場合、予期不安を感じた時点で、のどや舌にギュッと力が入り、滑らかに話せなくなります。予期不安は、吃音のあるお子さんそれぞれの言いにくい音、言いにくいことば、言いにくい場面で出やすいですが、これら以外で生じる場合もあります。
「予期不安」で言葉が出そうにない感覚は、大変つらいので、多くの吃音あるお子さんは、予期不安のつらさを避けるために、他の言葉への言い換えをしたり、分からないふりをしたり、学校を休んだりなど話す場面自体を避けようとします。他の言葉への言い換えについては、レストランでの注文で、本当は「ハンバーグ」を食べたいのに「とんかつ」を注文するなど、予期不安を避けることが最優先になることもあります。
また、吃音のために、例えば、小さな子どもでも簡単に言える自分の名前が言えなかったり、吃音で話すことを避けていたりする自分を情けなく思うなど、劣等感が増大しているお子さんも多くいます。
一般的に、吃音のあるお子さんは、決まった言葉をタイミングよく言うことが苦手です。そのため、「きりつ、今から1時間目の勉強をはじめます。着席」などの授業の開始と終わりの号令や、運動部の部活動のランニングの「ファイト!」などの掛け声、「はい、元気です。〇〇さん」とタイミングよく言う健康調べ、決められた文を読むことが求められる教科書などの輪読、「おはようございます」「さようなら」など表現が決まっているあいさつの言葉、言い換えができない数字での回答などは苦手なお子さんが多いです。
また、ほとんどすべての吃音のあるお子さんが経験する困難に、他児から、言語症状を真似されたり、笑われたりするなどのからかいがあります。さらに、他児の中には、どうして自分と違う吃音の話し方をするのかが純粋に不思議で、悪気なく、「どうして、『こ、こ、これ』って言うの」などと質問をする子どももおり、その質問にどう答えたら良いか悩む吃音のあるお子さんも多いようです。