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吃音のあるお子さんの抱える困難と支援の提案

 

吃音のあるお子さんの抱える困難と支援の提案

吃音があるお子さんが安心して自信を持ってお話したり、からかいやいじめなどを受けないで穏やかに生活していかれるようにするためには、学齢期のお子さんが一日の生活の大きな部分を過ごす学級において支援を行うことが効果的です。そこでも、このページでは、吃音のあるお子さんへの、学級での支援の例をあげました。既に先生の方でご配慮いただいていることと重複することも多く含まれているのではないかと思いますが、吃音のあるお子さんへの対応や支援をご検討される際にご参照いただければ幸いです。

 

先生に、ゆっくりと話しかけたり、十分に間をとりながらゆったりと接するなどを対応をしていただくと、お子さんの吃音は、少なくなりやすいと思います。
 
吃音でつまってしまい、なかなか声が出てこない時には、極力お子さんの口から言葉が出るまで待っていただき、「ゆっくり」や「落ち着いて」、「もう一回いってごらん」等の言葉かけは控えていただくのか良いと思います。そして、話し方についてではなくて、「話している内容」に耳を傾けて、お話を聞いていただければと存じます。
 
本読みの場面などでどうしても吃音がでてしまってうまくお話しできない場合は、クラスメイトと2人のグループを作って読む、先生と一緒に読む等、他の人と一緒に読むという場面を作ると吃音があまり出ないでお話しできることがあります。
 
吃音を持つお子さんが学童期に抱えやすい問題のひとつに、吃ることに対するからかいやいじめがあります。多くの保護者の方は、「吃音が原因でからかわれたり、いじめられたらどうしよう」と吃音からくるからかいやいじめが起きることに不安に感じています。からかいやいじめに対する対応としては、まずは、吃ることは「くせ」みたいなもので、背の高い子や低い子がいるように、話す時につまって言いにくい子やすらすらと言える子がいることを折りに触れてお話いただくことが有効です。また、からかう子供に対して、吃音は言いたくても言えない状態であり、怠けたりふざけているわけではないことをお話いただくと共に、吃音のお子さんはからかわれてとても嫌な思いを傷ついていることを伝え「人の嫌がることをしてはいけない」ということを毅然とした態度で伝えていくことが必要になると思います。
 
吃音があっても積極的に発表することは大事なことです。そこで、他の子供と同じように吃音があるお子さんにも発表の機会を与えていただき、吃音があるおお子さんにもそれに答えて発表をすることで発話に対する自信が深まっていくようご配慮いただければと存じます。この時に、多少吃っても発表が出来たことに自信がもてるようにご配慮いただければと存じます。
 
吃音があるお子さんのクラスメイトの中には、「どうして。○○ちゃんは『ぼ、ぼ、ぼ』って話すの?」等と、吃音があるお子さん本人やそのご両親、担任の先生に質問をしてくる場合があります。このような質問は、全く悪意のない純粋な疑問からくるものなのですが、そのような質問を受け取った本人や両親は、非常に動揺したり、「吃音のことをからかわれた」「変なことを言われた」と受け取ってしまう場合も少なくありません。このような質問に対しては、まず質問をしてきたお子さんに対して「ぼ、ぼ、ぼ」って繰り返すのは話し方のくせみたいなもので、おかしなことや変なことではないことを伝えていくと共に、質問を受けた本人や保護者の方に対しては、そのような質問には悪意はなく気にする必要はないこと、吃音の話し方で話すことがいけないことや恥ずかしい劣ったことではないことを伝える必要があります。
 
吃音の話し方は、とても目立つものであるため、吃音があるお子さんは、様々な活動の正否を「うまく話せたか」という発話面の評価のみで行ってしまう傾向が多いようです。また、学級担任の先生が吃音のあるお子さんの評価をする時も、「今日は上手に話せた」、「今日は吃音が目立った」などと話し言葉の面に注目しがちです。しかし、授業や係活動などにがんばって取り組んだことや、ユニークで優れた発言や工作物などの作成、やさしい性格や友達関係の充実など、吃音の有無以外の側面にも、吃音のあるお子さんの良い面(や悪い面)の評価を行うことは色々とできると思います。そこで、発話の正否以外の側面でお子さんのことを評価し、その評価をお子さんにフィードバックしていくことも重要であると考えます。
 
吃音のあるお子さんの吃音への対応や支援の要望は様々です。例えば、吃音のことでからかう他のお子さんに対して、先生からホームルームなどの場でそのようなからかいをしてはいけないとクラス全体に注意して欲しいと思っている人がいる一方で、クラスの前で自分が吃音があることがばれてしまうそのような注意は絶対にして欲しくないという人もいます。このことは、場合によっては先生が「よかれ」と思って行った支援が裏目に出てしまう危険もあることもあることを示唆していると思います。そこで、吃音のあるお子さんへの対応を試験をご検討される際は、必ず、お子さん本人や保護者の方、お子さんが通っていることばの教室の担当の先生などと十分相談をし、お子さんの状態やニーズに応じた支援を行う必要があります。
 
 
吃音があるお子さんの吃音問題の軽減を取り扱う専門家には、言語障害児通級指導教室(ことばの教室)や病院等にいる言語聴覚士がいます。これらの専門家の下に通うことで、楽に滑らかにお話しする方法を学んだり、心理的な問題の軽減を図ったり、社会の誤解や偏見と立ち向かっていく力を身につけていくことなどができるようになります。そこで、お子さんや保護者の方が吃音で困っていたり、どこか相談できる場所を求められている場合は、これらをおすすめいただければと思います。また、お子さんがことばの教室や病院等の専門機関にかかっている場合は、是非、ことばの教室の担当の先生や専門期間の担当の先生とコントクトをお取りいただき、学級の中での配慮事項についてのご相談をしていただけばと存じます。