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保護者の方

吃音Q and A

 

相談や支援

吃音について、皆様からよくいただく質問をまとめました。吃音に関する疑問や悩みを解決するヒントとしてご活用いただければと思います。

吃音とは、ことばが「どもる」ことをいいます。「きつおん」と読みます。言葉が「吃る」とは、語音を繰り返す(「ぼ、ぼ、ぼく」)、引き伸ばす(「ぼーーーく」)、つまって出てこない(「・・・・・ぼく」。ブロックともいいます)等の言語症状が出ている状態のことを言います。
 
ただし、多くの場合吃音の問題は、単に言葉の話しにくさにとどまらずに、話すことやコミュニケーションの場面を避けたり、自分に自信が持てず自己肯定感が低下してしまったりというように、生活に支障をきたす問題へと発展していきます。その結果、少数ですが、進学や就職が出来ないという深刻な問題をもたらす場合もあります。
 

はい。「どもり」という表現はことばが吃る人を指す用語として昔から使われてきたもので、吃音は比較的新しく用いられるようになった用語のようです。「どもり」という用語は、「つんぼ」「びっこ」等と共に、差別的な意味合いを込めて使用されてきました。
 
吃音をもつ人は、「どもり」と呼ばれることで非常につらい経験を重ねてこられた方が多いので、「どもり」という用語の使用は避ける必要があります。そこで、「どもり」に変わる用語として「吃音」が広く用いられるようになっています。
 

「ぼ、ぼ、ぼく」の様な語音の繰り返しは、吃音の代表的な言語症状のひとつです。しかし、吃音の言語症状は、語音の繰り返しだけではありません。語音を引き伸ばす(「ぼーーーく」)、語音がつまって出てこない(「・・・・・ぼく」)の様な言語症状も吃音の一部です。
 
また、吃音と関連した症状に、随伴症状があります。これは、話し始める時に、吃音とともに、目がぱちぱちと動く、手を振って勢いをつけて話そうとする、貧乏揺すりみたいに足を動かすなどの体の動きが伴う(随伴する)状態のことを言います。
 

かつて、両親や周囲の人の接し方のまずさが吃音の原因であるとする学説(診断起因説: Johnson, 1959)が広く普及しましたが、その後の研究でこの学説は否定されています。保護者の育て方が悪いから、お子さんに吃音が出てきたわけではありません。
 

吃音の遺伝については、色々な研究がされていますが、まだはっきりとしたことは分かっていません。これらの研究の中には、何らか吃音になりやすい体質みたいなものがあり、それが家族間で引き継がれると示唆するものもあります。しかし、これらの体質のある人が全て吃音になるわけではないこともわかっています。結局のところは、現時点ではわからないとしかいいようがないのだと思います。
 

吃音のあるお子さんの7〜8割は「自然治癒」といって小学校2年生ぐらいまでの間に吃音がなくなることが知られています。また、残りの2〜3割のお子さんは、その後も吃音が続いていくのですが、家庭や学校の環境調整や吃音の発話面や心理面への適切な指導・支援を行うことで、学業や友達関係、あるいは今後の人生に大きな支障がないように、吃音による不都合を緩和・軽減することができます。
 

吃音のあるお子さんの中には、自身の吃音に気づいておらず、吃音が出ても気にしないで派手にどもりながらお話しているお子さんがいます。このようなお子さんには、吃音の話題を無理に取り上げる必要はないでしょう。
 
しかし、小学2年生ぐらいになると、ほとんどのお子さんは、自分の話し方が他の人とは違うことに気づき、吃音の話し方を恥ずかしく感じたり、吃音の話し方が出るか不安を感じたりするようになります。また、吃音のことを他のお子さんに指摘されたり、からかわれたりすることも出てくると思います。このように、お子さんが自身の吃音に気づき、困っている時は、吃音のことを家族で率直に話せる関係を築くことで、お子さんが吃音の悩みを1人で抱え込まないようにする必要があります。
 

吃音のからかいを防ぐには、学級担任の先生に、吃音のことを良く理解いただいて、クラスに吃音へのからかいがないか目を配っていただく共に、吃音のからかいが生じた際は、「吃音のからかいは許さない」という姿勢で、吃音をからかった子どもやクラス全体に対してしっかりとご指導いただく必要があります。
 
また、吃音のあるお子さんに対しては「吃音は、悪いこと、いけないこと、駄目なことではない」、「吃音のをからかうことは、悪いこと、いけないこと、駄目なこと」とであると伝えると共に、からかわれた時は、1人で悩まず保護者や先生に相談するように伝えておくことも有効な支援となります。吃音をからかわれることがあっても、上述した対応をしっかりすることで、深刻な問題になることを防げます。
 

学齢期の吃音指導の一例を示すと以下のようになります。
 

環境調整(家庭環境の調整、学校環境の調整)

吃音症状の軽減に目指した直接的指導(「流暢に(吃らないように)」ではなく、「楽に」話すことを狙う)

カウンセリング的指導(吃音についてオープンに話せる場所の確保。吃音を持つ仲間同士のグループ指導を含む)

発話・コミュニケーションに関する指導(単に「吃らない」ことを狙うのではなく、効果的な発話・コミュニケーションをする方法を学習したり経験する。模擬面接などを含む)

 
実際には、お子さん本人や、保護者の方や学校の先生の希望や、吃音の言語症状、心理的な問題の大きさなどを考慮して、これらの方法を組み合わせた指導計画を立てるようにしています。
 

吃音を取り扱っている専門機関としてまずあげられるのが、小中学校に設置されている言語障害児通級指導教室(ことばの教室)です。ことばの教室は、地域の学校に設置されているため学級や地域との連携が取りやすい点、単に吃音の言語症状の軽減だけを目指すのではなく教育的な観点から長期間にわたる幅広い支援が得られやすい点など、吃音の指導や支援にとって望ましい条件が広くそろっていると思います。これらのことから、ことばの教室は、吃音をもつお子さんの指導や支援を検討する際の第一の選択肢となると考えられます。
 
 また、総合病院など比較的大きな病院や療育機関等には、言語聴覚士ということばのリハビリの専門家がおり、吃音の指導支援も行っております。ただし、言語聴覚士の中には、小児だけとか成人だけを扱う方や、吃音の指導支援は行っていないという方もいらっしゃいますので、事前に吃音の相談を受け付けているか確認する必要があります。
 
 あと、教育や医療系の大学の中には、附属の相談室やクリニックを併設している場合があり、吃音の指導や支援を受け付けている場合があります。これらは、無料、もしくは比較的安価で利用出来る場合がほとんどですので、近くにそのような機関がある場合にはご利用になれると思います。