吃音情報シリーズ[保護者向け]
1. 吃音とは(幼児版)
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吃音は、言葉を滑らかに、スラスラと話すことができない言語障害の一つです。言葉が「どもる」とも言います。
吃音の言語症状、どもる話し方には、以下の3つがあります。
- 1つ目は、「こ、こ、これ」のような、音の繰り返し、連発です。
- 2つ目は、「こーーれ」のような、音の引き伸ばし、伸発です。
- 3つ目は、「......これ」のような、音のつまり、難発です。音のつまりは、阻止、ブロックとも言います。
吃音の言語症状が進展すると、「こっ、こっ、これ」、「......これ」のように、のどやくちびる、舌に力が入るようになります。また、言語症状の進展に伴い、顔を歪める、手足を動かすなどの随伴運動が生じることもあります。
吃音は、言語発達がある程度進み、おしゃべりが上手になってくる2〜4歳位に出始めることが知られています。
吃音が見られるお子さんの多くは、「こ、こ、これ」のような、力の入らない軽い繰り返しや引き伸ばしから始まり、徐々に吃音が増えていく緩発型です。しかし、最初から「......これ」のような、力の入った繰り返しや引き伸ばしが見られる突発型のお子さんもいます。
幼児の吃音の出現頻度は、5から10パーセントと比較的多いことが知られています。
吃音の原因は、現在、世界中の多くの研究者が精力的に研究を行っていますが、現時点では、まだ、はっきりとしたことは分かっていません。しかし、これまでの研究の結果、吃音の原因が、保護者の育て方の問題ではないことは明らかになっています。
現在、吃音の原因の有力な説となっているのは、「多要因モデル」と呼ばれるものです。これは、体質的要因と、環境要因の複雑な相互作用によって吃音が生じるとするものです。そして、体質的要因の候補として、頭の中には話したいことがたくさんあるのに、それを表すための言語表出や発話運動ができない、言語理解と言語表出のアンバランスが挙げられています。
吃音の特徴の一つに、吃音の言語症状の多い時期と少ない時期が交互におとずれる「吃音の言語症状の波」があります。特に、幼児期は、言語症状の波の幅が大きく、言語症状の少ない時期に、全く言語症状が出なくなることも少なくありません。
また、個人差はありますが、年中さんぐらいまでは、ほとんどのお子さんは、自身の言語症状に気づいておらず、言語症状が出ても気にせず、話したいことを話します。
ただ、お子さんの中には、自分の思ったように言葉がスラスラ出てこないことに「もどかしさ」を感じ、顔を真っ赤にして「話せない」と訴えたり、話すことを途中であきらめてしまったりするお子さんもいます。
吃音のある幼児のお子さんの8割程度は、小学校の1〜2年生くらいまでに吃音が自然になくなることが知られています。これを自然治癒と言います。
なお、吃音のある幼児のお子さんの2割程度は、小学校以降も吃音が継続します。そうすると、お子さんによっては、自身の吃音の言語症状を気にするようになったり、力の入った苦しいつまりが出てくるようになったりします。その場合は、お子さんの吃音の悪化を防ぎ、言語症状や心理症状を緩和・軽減するために、ことばの教室での通級指導や、医療機関での言語聴覚療法などの専門的な指導・訓練が有効です。
関連資料・教材
吃音サポートノート [保護者版]